3年生最後の給食が終わった日、ベッドに入ると、息子が話しはじめた。
「当番さ、牛乳はフツー2人で運ぶのに、自分のときは一人で運ぶんだ。」
淡々とした口調。でも、言葉の奥に何かがひっかかってた。
「え、何それ。どーいうこと?」
子どもの言うことだから、思い違いや勘違いもあるかもしれない。
事情聴取、開始。
(ただ確認したいだけなのに「何があった?誰が何した??何しなかった!?」と詰問モードになるのを、必死で抑えつつ。)








どうやら、当番は4-5人だけど、同じ班には学校を休みがちな子がいたらしい。その子が休むと、牛乳運びは息子の単独ミッション。他の子たちは注ぐ係と配る係。分業制をオニ徹底。
だから、牛乳ケースを一人で運ぶことが、何度もあったという。(実際の回数は、2回以上あった、とか、半分以上かもしれない、とか、曖昧だけど)
ちなみに、おかずやパンなど重いものは、大人や上級生が運んでくれる。(上級生、大変だな!)
「牛乳ケースの上に、デザートも乗せて運んだことある」
お、おおぅ…!
通りがかりの人が二度見して、「それ大丈夫ですか!?」と一緒にいた先生に声をかけたらしい。でも、先生の反応は薄かったそうで。
「人数が足りないから、しかたない」
そういう状況だったかもしれない。
でも、周囲が驚くレベルのことが何度かあったなら、やっぱりモヤモヤする。
大人の私でもモヤるのに、9歳の息子は、どんな気持ちだっただろう。
「他の班は2人で運んでるのに
いやがらせか何か分かんないけど
グチになっちゃうけど
まぁ、筋トレになるからいいんだけど」
事情聴取に疲れたのか、そう呟いて、息子は布団をかぶり、背を向けて寝てしまった。
まるで、自分に言い聞かせるかのよう。
その小さな背中に、どれほどの感情を抱え、渦巻いていたのか。
1年が終わるこの夜、ようやく話せたんだな。
3年生になって、親の知らないことが増えた。何もしてやれないことも増えていく。
それでも、願わずにはいられない。
彼が、自分の力で、乗り越えていけますように。
一段ずつ、一段ずつ…
静かに祈った夜だった。
(でも、筋力ひよこレベルだから、ホントに筋トレでいいかもしれないな…)